お昼前に、福岡のオーディオショップ、アートクルーからとどいた。メーカーから届いたばかりの未開封状態で、当方が開封したのだ。そして一番に試聴。しかも、シェルなしなので、こちらで選定しての試聴だ。
結局ポイントは自重であろう。11gと重いのだ。構造上やむを得ないらしい。EPA-100mk2は総重量26gまでにしたいのだが、シェル、リード線、固定ねじを含めて差し引き15g以内にしようとすると、シェルは13gまでだ。なかなか選択が難しい。重さに関係なく選べば、開発に使用したAT-LS18でもいいのだろうが、「あーく」では装着できるアームはSAEC WE-407/23ということになる。
というわけで、まずはLT-13で試聴。日産一個、組み立ての段階で、コイルがギャップの適正な位置に収まるように、それぞれに位置決めをやって、試聴した上で適正針圧を決定しているのだという。この個体はシリアルナンバー21、たまたま推奨針圧も2.1gだそうで、これを遵守した。
さすがにおろしたばかりで感心する音ではなかった。LP裏表を通してバーンインして最試聴。比較対象は、CHA-1+MC-L1000 とLIVE18+C-5である。つまりそのくらいの高音質だとうこと。出力は一番低いが、明るく散乱する傾向で、テクニカの中では特別か。一切ゴチャゴチャするところがないのはいいが、やや大味な感じはある。最低域の押し出しもやや後退する。やっぱ、シェルがいけないということで、純正、といってもAT-LS15で試聴。EPA-100に付かないからとの配慮のつもりだったが、結局僅かの差でバランスできなかった(泣)。仕方なくWE-407/23で試聴。やはりこのシェルのほうが断然いい。全体のF得も整い、高域の細やかさも出て来るし、最低域の力も増して、中低域以下のバランスが良くなる。相対的に、C-5は明るく散乱する音で、質感がよく出る反面、高音域の付帯音がやや多く感じる。高域の付帯音が最も少ないのはMC-L1000で、かつ音の粒子が細かく切れ味も鋭い。AT-ART1000は、中間的な感じだがC-5と違ってソフトが良くないと駄目なタイプ。分解はハッとさせられる場合がしばしばある。価格、使い勝手、音質等々を考えると、またもやMC-L1000のすごさを知ることになったわけだが、さすがにMC-L1000は老化してきているのかもしれないと感じた。若い開発者が信念を持って世に送り出した現代のMC-L1000、と言ったら失礼になるかもしれない。将来の針交換対策もやっているらしい。テクニカ応援団になりたいが、60万円の対価は悩ましい。
<追 記>2016.08.07 仕事場に熊本地震の被害があって、個人事業主としては今はそちら優先。時期が悪すぎ。60万円はやはり厳しい。
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