ようやくC−AX10の修理が完了し、今日、福岡パイオニアサービスが持ってきてくれた。あちこち交換点検したものの症状は治まらず、結局バージョンアップした基盤そのものの動作不良であったとのこと。これを交換して一件落着。ということは、当方と同時期にバージョンアップした方は、当然同じロットの基盤を使っているわけで、要注意である。
もう一つ、PRA−2000ZRもレストアされた。今回は古くからの熊本のDENON技術者さんである。3系統のフォノイコの劣化したコンデンサーとトランジスタをオリジナル部品に交換、ハンダ直しもして頂いた。基盤間の接続コネクター等の接点のクリーニングは自分でやった。
当方の器械は、PRA−2000ZR、C−AX10、HMA−9500mk2、VRDS−25xsと、みんな修理やバージョンアップ品ばかりになっていた。
さて、C−AX10が居ない長〜い間に、たまたまいろんな機器をお借りすることができて、いろいろと実験させてもらった。というより、そうでもしていないとやってられなかった、というのが本音。TE27さんのご厚意でチャンデバEN−1000、ある方のご購入のお手伝いでプリアンプC−290+AD290、止めはC−290Vだ。そして、C−AX10が帰ってきて、更に実験を積み重ねている。ただしこれから述べることは、あくまで独り言である。
こうして、本当に幸いなことに、高級プリを、全部同時にではないが、いくつか重なりながら試聴することができたわけだ。SONY TA−E1、これは自前。290、290Vよりプ価格はワンランク下であるが、機能を最低限に絞り込んで作られており、十分高級プリといえる。むしろ超高級ボリュウムボックスかもしれない(結果、やっぱりN1ではなく9500mk2を使いたいが、プリアウトがRCA1系統とバランス1系統であること等の理由で、TE27さん宅へお嫁入りした)。言わずと知れた高級プリの代表、アキュフェーズC−290および290V。フォノユニットはAD−290のみ。最後に、これもワンランク下かもしれないが、C−AX10。番外でC−270、PRA−2000ZRもある。この際、C−280VやC−2800、そしてAD−290VやAD−2800も試聴できたら良かった。
当方はタコ耳でしかも前時代的頭脳コンピュータしか持ち合わせておらず、これだけの機器を比較試聴するのは生まれて初めて。自分なりの結論に達するまでには相当つまらん間違いを繰り返しながら、すったもんだの挙げ句のことであった。
最近(多分’94〜95年以降)の高級アナログプリのラインアンプは、CDを鳴らすに相当高いレベルにあった。一方、高級プリのフォノの音(といっても内蔵しているメーカーはアキュフェーズ位しかない)は、決して悪くはないのだが、DENTEC VRDS−25xs Ver.2 をアナログ接続してみると、LP再生の音質を切れと力強さの部分では超えていることも事実である。また、25xsをC−AX10のCDデジタルインに入れた音は、アナログ接続よりもクリアーな傾向であるけれど、DENTEC25xsのDACの音も好みで、捨てたもんじゃない。
「あーく」のPAの問題は一応解決したし、CDも当分25xsを替える気にはならないが、今度はプリ(フォノを含む)が問題となってしまった。C−AX10を使うなら、外付けフォノ・イコライザーが必要。また、アナログインの音は明らかにアナログ高級プリが勝り、5.1以外のメリットはデジタル・チャンデバおよびデジタル・トーンコントロール、そしてCDのデジタル・イン。ただ、EN−1000を使用してみると、デジタルチャンデバはすっきり見通しが良いが、圧倒的というわけでもなく、かえってコイルの方が歪みも位相回転もあるけれど生き生きとして力強さや迫り来る恐怖感みたいな点ではいいのではないか、と考え始めた。一方、その他ワンランク上級のフォノ内蔵プリを使うなら、CDのアナログ・インは文句ないが、それに比べるとフォノの音質に不満が残り、結局、外付けフォノイコの方が良かったりする。まあ、LPの方がいい音で鳴る、という先入観(?)を捨てれば済むのだろうけれど、LP党の当方にはまだ納得がゆかない。
じゃあ、なにが良かったのか?以下、「>」は差がある、「≧」は僅差、「=」は同等、と読み替えることとする。使用電源コードは5.5スケ2芯の自作シールドなし、50cm。C−17・フォノイコおよびフォノイコ・プリ間は6N単線2芯シールド、それぞれ50cmと1m。プリ・パワー間のRCAコードは、つなぎ替えの安定性を重視して(これしかなかったのが本音)、アキュフェーズの青(型番は忘れた)1.5m。
【フォノイコ】全て「C−17経由・MM入力」の方がS/Nも切れも力強さも良かった。改めて単体ヘッドアンプとしてのC−17の素晴らしさを実感できた。C−270とPRA−2000ZRは、フォノイコとしてC−290またはC−290V経由での試聴。C−290経由のインプレッションは、概してC−290Vと同じ傾向だが、S/N以外はC−290V経由より劣る感じがしている。同時試聴でもないこともあって、以下の番付には入れていない。ただ、AD−290+C−290だけはC−290使用時の代表として記憶をたどって番付に入れておいた。
S/NはAD−290(C−290装着時)>AD−290(C−290V装着時)>C−270≧PRA−2000ZR。
ダイナミックレンジはPRA−2000ZR>AD−290(C−290V装着時)>C−270≧AD−290(C−290装着時)。
力強さはC−270>PRA−2000ZR≧AD−290(C−290V装着時)>AD−290(C−290装着時)。
分解はPRA−2000ZR>AD−290(C−290V装着時)≧C−270≧AD−209(C−290装着時)。
C−270の豪快さと少々デフォルメされた実在感は魅力だが、僅かに金っぽさがあり、音像も最も大きい。C−290+AD−290は、S/Nが良く、刺激音を出さず、奥に拡がる音場とゆったりした低域の量感は音楽派向きか。C−290V+AD−290はPRA−2000ZRに肉薄する。S/N、楽器や声の質感や雰囲気といった面ではZRを超えているが、ここ一発の切れとダイナミックレンジ感ではちょっともどかしさが残り、ZRに歩がある。総合ではPRA−2000ZRを選択したい。あれっ!これってWROMさんと同じラインアップじゃなかったっけ?
それでは、C−17+各フォノイコ+C−AX10(デジタルチャンデバ)ではどうなのか?それが困った。全体にすっきりクリアーになって良いようなものなのだが、C−290VにEN−1000の方が、ぞくぞくするような実在感とゴリ押しの低域があって好みなのであった。コイルを使用の皆様のご意見としては、チャンデバよりコイルの方が力感があると仰る向きが多いと拝察する。故、コイルに入れ替えたらさらに好みに近づくかも。そうなると、、、。
「ADをやる人は後から付け加えてください。」とばかりに、フォノイコがプリアンプから消え去り、後付のビルトインユニットになったり、外付けの単体フォノアンプであったりする時代になって約10年。ADをまだメインにやってゆきたい当方としては、今後の方向を決めるに当たってとても良い経験をさせて頂いた。
<追 加>
C−AX10のインプレッションは訂正しなければならない。C−AX10、どうもあまりに不甲斐ない結果が腑に落ちなくて、再度点検。テストの為に作ったC−AX10の電源コード、+−逆になっていた。ゴメンナサイ!m( _ _ )m
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