最近、CHORDのフォノイコを試聴する機会があったことはすでに報告した。そして感じたことがある。
物はフォノイコであったが、その他プリ、パワー、DACもパルス電源を使ったコンパクトサイズで、デザインも好き嫌いはあるだろうが相当なレベルにあり、高価ではあるが超高価ではない。
日本の大手家電メーカーのオーディオ部門(ヴィジュアルでない純粋なオーディオ)の縮小または撤退は続いている。そんな中でも、スピーカーシステムは根本的原理の革命がないかぎり現在の延長上に進展してゆくであろう。ただし単売ユニットとなるとどうなることやら。パワーアンプは、マルチチャンネル化が順調に進めば一台に多チャンネルを内蔵したものが普及し、重厚長大な2チャンネルアンプは限られてくるかもしれない。それでも、住宅事情からは一般家庭でマルチチャンネルが大半を占めるようになるとは考えられないので、2チャンネルアンプの需要は急激に減少することはないだろうからしばらくは安心。送り出し装置はメディアの発展(?)多様化に伴い百鬼夜行であるが、いつかはDVDの発展型に収束してゆくのだろうか。PJは3管は残るがDLPの画質の改良が進むに連れて、LPとCDみたくその価格とコンパクトさがゆえこちらが主流になる。
問題はプリアンプである。ジュラ紀後期の恐竜のようなプリアンプがアキュフェーズ、ラックス、マランツから出ている。しかし、現在の状況にあっては、これは逆に驚くべきことかもしれない。テクニクスのアンプも受注生産、いつ縮小されるか分からない状態という。買うなら今かも。買った方は幸運!
しかし、そもそもプリアンプの存在意義が薄れてきているように思う。多チャンネル化し、送り出し側がDolby 5.1 だのDTS だの SACD/DVDマルチだの言い出すからには、それに対応できてパワーアンプに送り出すものでなければ意味がない。それをプリアンプと呼べるのか。マスターボリュウム付きプロセッサーとでも言った方がいいんじゃないか。すでにAVアンプとして各社発売はしているものの、オーディオ的に見ると食指が動かない。むしろ入門用のシスコンの方が進んでるんじゃないか。
せめて、プリ(プロセッサー)とパワーを分けて欲しいものだ。これに答えてくれるものは中級機以上ではパイオニアまたはSONY、並はずれた高級機にしてもアキュフェーズしかない。欲を言えば、パルス電源でも使って総デジタル化してほしい。プロセッサーを含んだCHORD みたいなものがもう少し安く出てくれば売れるかな。高価なシスコンと言われればそれまでだが。そんなことを考えていたら、音の好みはちょっと違うけれど、C−AX10は何とハイCPであることか再確認した。
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