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バクーンの永井氏に、既存のEQA-5620の改造進化版の製作を提案、と言うより無理矢理制作を強要してしまった。
5620・・?
5620・・?

SATRI Phono Amp.EQA-5620。でも、通常の5620ではないことは、タイトルからもお察しの通り。
 
 5620は MM/MCフォノイコライザーアンプだが、これは、右の電源スイッチと黒いミューティングスイッチだけが機能しており、真ん中のゲイン切り替えと左の MM/MC切り替えツマミはダミーで、MC専用に特化している。
 
 MM型カートリッジよりも音質的に有利と言われているMC型カートリッジの出力電圧は、極めて小さい為に、電圧増幅のためのヘッドアンプが必要となり、S/Nを高くする事が難しい一因となっている。しかし、出力電流はMMカートリッジよりも大きいのである。
 SATRI-ICは電流入力なので、そのままMCカートリッジとインターフェイスすることが出来る、アナログファンにとっては誠に好都合のアイテムである。MCカートリッジをSATRI-ICと組み合わせて電流モードで使うことにより、パワーアンプとそのまま接続できるくらいの信号電圧を、非常に低雑音で取り出すことが出来るわけだ。
 更に SATRI回路のプリアンプやパワーアンプを使用すれば、SP出力直前まで完全電流伝送が可能となる。

SATRI 回路 Ver.6.2
SATRI 回路 Ver.6.2

中身は、一見、見事な「OS-conの林」でオリジナルと大きく異なるところはない。ところが、別物と言っても良いくらいの違いがある。
 
 当方のお気に入りパワーアンプ 5511mk2に、量販品としては初めて使用されたSATRI回路 Ver.6.2。これは出力段のバイアス電流を監視し、温度変化や電源電圧変動などによる出力段の動作点の経時的変動を限りなく0に近づける画期的回路で、非常に高精度の再生が可能になる。
 これをフォノアンプに組み込もうというわけだ。それに伴い、メイン基板は、表のコンデンサーや抵抗が幾つか変更されているだけではなく、裏側は追加部品で一杯になっている。
 ただ、これにはまだ問題があって、実用までにはもう少し手直しの時間が必要である。それは次に報告する。

'04/01/25
'04/01/25

1月25日の日付になった。ついさっきまでバクーンの視聴・開発室にお邪魔していた。それは、驚嘆のフォノイコが実用間近になった瞬間だった。普通だったら、実用になったと言って良いだろうが、これはスペシャルなのである。普通では済まされないのだ。
 
 先日までは、可能性のある音が出てはいたものの、残留ノイズが多くてMCカートリッジの再生には厳しい状況であった。あれから約2週間、バクーンの永井氏、みごとに解決して頂いた。メインの基板には、ジャンパー線やダイオードなどの部品が追加され、信号線を銅箔テープでシールドするなど、数々の手直しがなされていた。

主基板の裏
主基板の裏

表からは分からないが、主基板の裏はV.6.2にするための追加部品だらけだ。
 
 こうして SATRI回路にはオリジナルの 3.5倍のバイアスが流され、結果的に入力インピーダンスが下がって(10ル→約3ル)ゲインが上昇し、かつまたMCカートリッジの発電系に適度な電磁制動が掛かるという。実際ノイズは激減し、更に驚くべき事は、どのカートリッジをもってきても、演奏中に聞こえてくるはずのチャカチャカといった針鳴きが「ほとんど聞こえない」のである。

オール電流伝送
オール電流伝送

力強く瞬発力がありよく分解する。CDにも似ているとこがあるが、なんとなく感じるCDの違和感みたいなものはない。カートリッジ振動系の共振などで付加されたいらない信号が取り除かれた為かな? 比較するなら、窪田式は「音場の見通しが良く、余裕の揺るぎない低域をベースにしたより自然な音でここ一番では力強さを見せる」とでも表現しておこう。
 
 まだ、ほんの僅かなバックグラウンドのザワツキ(AMP-5511mk2 でもそうだったが、これが本当かも知れない)と、大音量時のこれも僅かな誘導音がある。欲を出せば、特に低域にはもう一寸余裕も欲しい。現在、誘導音を回避する目的で電源別筐体を計画中。折角別筐体にするのなら、誘導音は問題ないわけだし、少し肉を付けるという意味で、これまた駄々をこねてトランス強化をお願いしようかな。
 
 写真は、グレーの7C-FV がSATRI RINK。これで カートリッジからメインアンプまで全て電流伝送となった。

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Last updated: 2024/7/7

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