漂流日誌 '11年分

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Diary


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  12月31日   結 局

 「あーく」の掃除が終わらなかった。当方以外の家族全員が女性、家の掃除がはかどるかと思いきや、まともに掃除してるのはほとんど当方一人である。昔手伝ってくれた長女も帰省しているが、19歳にもなれば自分のことで忙しいらしい。そういうわけで、「あーく」の掃除は今日から始めた。終わるわけがない・・・。掃除しながら年越し、それもいいか。
 
 今年は「あーく」でのオフ会こそなかったが、ネットを切っ掛けに沢山の方々に出会い、同時に修理やスペシャル・アイテム等々で大変にお世話になって、意外に進展の多い年であった。感謝。
 
 写真はそのスペシャルの一部。PH-L1000の指掛けプレート(ジュラルミン?)をより軽いドライカーボンで制作。その重量差は2g、総重量24.5gに納まる。EPA-100mk2でも音質劣化が少ない。小さいようでこの部分には大きな差である。見てくれは今二、見てくれを考慮した物もあるのだけれど、この際はその効果を確かめたかったので、より極端に軽量化したものを取り付けてみた。結果、音は金属の鳴きみたいなところが全くなくなり、中高音域の響きが開放的になるが音像は肥大せず、低音域は更に引き締まって力強さも増す。同じAT50ANVとは思えないくらいだ。これがセラミック本来の音なのかもしれない。
 
 来年はどうなることやら。老眼は受け入れられるとしても、当方の耳、加齢難聴が始まらないか心配である。兎にも角にも来年もよろしく御願いいたす次第。
 
 

  12月28日   仕事納め
とは言うものの、個人業主の長においてはぜ〜んぜん仕事量が変わらない。おかしいだろ!
 
 で、クソッとばかりにシェル軽量化作戦続行。それこそスペシャルを動員していろいろやってみているところで、EPA-100mk2はやはりいいアームだと思うのだ。そんなこんなで、なんだか30年かかってようやくLP再生の要領がつかめてきたような感じもする。確かに一部の再生機材も進化していることは認めるが、過去のアイテムも現状の環境で使ってみると結構いい音出していておもしろい。メカニカルな物は過去の物の方が高度な構造だったりする。今新品で入手できるならどんなに楽しいだろうと思う。過去に足りなかった物は唯一フォノアンプのS/Nだったが、皮肉なことにCDの時代になってそのS/Nが上がったと思う。
 
 今新品だったらやってみたいものは、リニアトラッキングアームだ。当時、歪感は少ないが、低音域の軽さを指摘されることが多かった。しかし当方の記憶では、友人宅のPioneer PL-L1は意外にしっかりした重くない低音が出ていた。「あーく」のようなリジッドな床に,リジッドに直置きにして最新のフォノアンプで、新品のMC-L1000とか鳴らしたら、どんな音がするのだろうか。
 
 そんなこと言ったってできないことはできないので、来年の当方は、EPA-100mk2を生かしたLP再生に挑んでみたい。

  12月24日   ネックがネック

 ユニバーサルアームの最大の利点が最大の欠点とも言える。当方の使い方が荒いのか、特にEPA-100はそうだ。締め込むと、CRC55-6等で解決できるようなものではないいや〜なガリガリ感があって、きっちり締まらない。他のメーカーのアーム、特にMICROは大変しっかりしている。Dynavectorなんかはコレットチャックだ!
 
 だいたい、この構造ではシェル・シリンダーとアーム・ネックの面が全面接触するはずがない。下側が浮きがちになっていることが少なからず。で、シェルの方でシリンダーを2ピンのものに取り替えたり、PH-L1000のような無酸素銅リングを大小作ってみたり、SAECのジャンクからベリリウム銅リングをとってきて付け替えたりしてきたけれど、EPA-100には低音域が引っ込みがちになってどうも遺憾のである。果てはZYX Ringも試してみたが、これは悪くないけれど面倒すぎるし、当方にはあまりに高価すぎる。
 
 その中でもベリリウム銅ワッシャーが一番しっくりきていたところ、とある方から情報をいただいて、「音のエジソン」という「大丈夫なのか?!」と疑いたくなる(すみませ〜ん!!)販売店オリジナルの3点支持ワッシャーを試してみたら、これがいいのである。尋ねてみれば、市販真鍮ワッシャー(これを探し当てるのにご苦労があったらしい)を加工した物と言うことだった。ギュ〜と締まって、上下、左右、回転ともに、ビクともしなくなる。緩めるときもムギュ〜とはずれる。音は低域が中音域・高音域と同じ面で出てくるし、当方好みの散乱があり、音像に実体感があるというか、いい意味で滲みがある。
 また使い方にも裏表でシェル側に突起を持ってくるか、アームネック側にするかで微妙に音が違う。直径がシェル・シリンダーよりやや大きいので、シェル側に突起を持ってくる方がリング・アーム間に隙間がなくて、見てくれも精神衛生上もいい。かつての鉛リングにも言えることだが、圧倒的力で剛体化する部分ではないので、このくらいの弾性がある物の方が反って接触面積は大きくなっていいのではないか。さて、一個500円、どうですか?

  12月23日   困った(その4)
 SATRI EQA-5630mk3ではMCカートリッジの公称出力電圧通りの音量にならない。電流入力だから当たり前と言えば当たり前。しかし、発電量が多かったり少なかったり、鳴らしてみるまで全く音量の予想が立たない。TA50ANVは意外に発電量が少ないのだが、概して発電量が多い物の方が高品位な音質のような気がする。
 
 そこで再度浮上してきたカートリッジがZYX。元々万能型、極めて誇張のない自然な音質で、低域が地を這うように出てくるけれどドロッとしていないところが好みだった。それが、中高域まで目が覚めたように生々しく鳴るのだ。僅かにウェットかも。
 正直に告白すると、カートリッジ(シェル込み)重い方がカンチレバーだけが動いて振られないから音がいいはず、とか考えてきたのだった。だから元々感度のいいアームなら多少重量かけてもいいだろうなんて、お間違えさんをやってきてしまった。この辺の理論はよく分からないが、先人の仰ることに耳を傾けないのもいい加減にしなくては。そこでシェル軽量化作戦。全ての手持ちのカートリッジのシェルをやや軽くしてEPA-100mk2とのバランスをとってやると、固まっていた音が急に解放されて伸び伸びしてくるからおもしろい。このことも功を奏しているのだろう。もしかしてアキュの新型AC-5はこんな音なんだろうか?
 
 比較すればAT50ANVはやや腰高、もっと軽やかで高分解で切れがいいが、決してハイ上がりではないし、βサウンドでもない。AT-33PTG、これまではちょっとダウンサイジング的と考えていたが、いや、これはいい。全てに高いところでバランスがとれていて万能型、でも決して大人しい訳ではない。これこそスタンダードになり得る。AT-33E、低域にはガッツがあって、よく切れてややきらびやかな高域、でも嫌みはない。明るめの楽しめるカートリッジだ。AT-F3Uは兎に角元気でドライ、ちょっと軽薄な感じもするが、許せてしまう。audio-technicaのカートリッジは基本は端正でウェットな感じがない。
 
 Victorのダイレクトカップルシリーズは、その独特な高域の表現が加速される。MC-1はややドライでハイ上がり、MC-L10はちょっと聞けばこれ以上の物が要るのだろうかと思うくらい。周波数バランスも良く、高音の散乱もよりきれいになる。MC-L1000は当方が言うまでもない。素晴らしく美しく散乱する高音域に張りのある中音域、ややもすると低音不足ともとられかねない締まった低音域。
 
 何故かSATIN M-21Bも復活(?)、ガンガン鳴る!どうしてだろう?!電気的ショート状態の電流入力による針先制動が効いているのだろうか。
 ドライなのはHelikonとAT-F3U、当然Helikonの方が遙かに高分解でHi-Fi、全帯域の音が力感に満ちているが音像は大きくない。
 
 しかし、こうしてみるとEminent GLの周波数エネルギーバランスが変に聞こえてきて、その価格を考えるとガッカリしたりするのは当方だけかな。何?アーム(EPA-100mk2)に合っていない?そうかあ・・・。

  12月22日   LP-P 3台
 出た。当方の無茶振り。アナログの機材、予備とかいって後生大事にしまっておいても、肝心の当方の肉体の方が先に逝ってしまいそうなので、ぜーんぶセットアップしてしまえと、LP-P三台目。メインはラック一体型積層キャビネットにSP10mk3とEPA100mk2、フォノイコはSATRI EQA-5630mk3。二台目はSAEC SBX-3にSP10mk3とSAEC WE-506/30だったが、SAEC派が多いので、天の邪鬼の当方はDinavector DV-507mk1.5、プラスアームでMicro MA-505LとSAEC WE-506/30とした。フォノイコはPRA-2000ZR。三台目はSP10mk2に純正キャビネットのゴムシートを取り除いて若干の改造を加えた物にEPA-100mk2。フォノイコはC-17+窪田式フォノアンプ。こんなにあって、いったいどうするの?
 
2011.12.30追記
 3rdプレーヤ、Dynavector DV-507mk1.5の有効長を1cm長く間違えていた。従って、メインアームにできないことが判明。ムム〜、残念。WE-507/30がメインアーム、MA-5-5Lがプラスアームとなった。

  12月12日   EQA-5630mk3完成
 めでたく調整終了。イコライザー部のゲインの下げ過ぎ(当方が20dB下げてくれと言ったのが原因。現在はそこから10dB上げた。)と、SATRI-ICの発振が重なって、何とも妙な試聴結果になってしまったようだ。特にSATRI-IC type EXは、メガヘルツ領域での発振の影響が下まで及んでしまい、高域がチャカチャカするようなSATRIらしからぬアンバランスな周波数エネルギーになっていたのだろう。現在は、高音域は切れよく散乱し、中音域は明るく、低音域は引き締まって明快、当方好みの音質になっている。試聴はやり直しだ。

  12月10日   困った(その3)

 続きを書きたいのであるが困惑している。困った(その1)で述べたこと。つまり、カートリッジの音質の違いが顕著には出ないのだ。聞き比べれば違うことは分かるけれど、価格に10倍の差があろうとも、方式が全く異なっていようとも、せいぜい2倍ぐらいの差でしかなく、しかも基本的な音質の傾向が変わらないのだ。それこそTA-F3でも結構な音が出てしまう。いいようで悪いような・・・とにかく、これじゃあテストにならない。何故こうなるのか分からない。
 それから、EQA-5630mk3、新型のSATRI-IC、特にEXはこのような使い方をすると発振することが分かった。というわけで、対策ができるまでとりあえず旧型を装着。
 また、熊本も急に寒くなって凍えている。カートリッジにも酷な季節である。特にサテン、覿面トレース能力が下がるので、この条件で比較するのは可哀想になる。以後、夏まで評価しないことにする。
 
 そういった条件下で、AT-50ANVを純正シェルAT-Ti15ANVに取り付けて試聴した。先日の日誌の写真と比べてどっちがカッコイイかな?空芯なのにガツンとくる低域、虚飾のない中音域、きれいに分離する高域、全く破綻しない素晴らしい音である。対してOC9mk3はよりごつい低音域、中音域はやや素っ気なく、切れ込みをみせる高域といったところ。AT-F3Uはやや全体に安っぽさというか何となく僅かにベールをかぶるが十分力もあれば分解も有り、「どうですか?」とばかりに元気に鳴る。上の二機種を聞いた後だけに、思わず「やるじゃん!」とにやけてしまう。ついでに鉄心入りのカートリッジをいくつか聞いてみた。やはり低域は50ANVよりごつい。
 
 

  12月4日   困った(その2)

 AT50ANVのレポートを報告したいのだけれど、またまた問題あり。まずは使い慣れたシェルPH-L1000に取り付けて試聴・・・と思ったら、カートッリッジ側のヘッドの入る座繰りの径が小さくて、チタンボルトのヘッドがはいらないのだ。なんだこれは!チタンボルトだけでなく、他のボルトもヘッドの小さい物でないと入らず、選べるボルトが限定される。当方の手持ちには真鍮製のものしかしかなかった。更に、ボルトの通る部分の厚みが10mmもあって、貫通型のシェルだと少なくとも14mm以上のやたら長いボルトが必要!当方はにもうこの時点で「こんなんでいい音するんだろうか?」と萎えてきた。でも聞かずに判断しては失礼なので慣行。リード線は単なる太めのOFC撚線。ひとつ意外なことに、見てくれはPH-L1000との相性抜群、純正ではなかろうかと思うくらい似合っていて、非常にカッコイイ!
 
 さて、Victor3兄弟との比較では、極めてまじめで踊り狂うようなところがない。なるほどtechnicaさんの製品だ。分解はL1000並と思う。最近はL1000に肩を並べるようなカートリッジが続々と出てきて、本当におもしろい。空芯ということで低域の力強さが危惧されていたが、心配は無用。しかし、ことさら力強さを求める拝には物足りないかも。ということで、シェルを純正に。但し最初から指かけはチタンに替えてある。むしろ低域の量感は増す。しかし塊となってぶっ飛んでくるのとは違って、どちらかというとガツンよりバーンに近い。高域は更に情報が増して散乱するように思うが、何となくつややかさがない。どこか「ハッ」とするところが欲しい。この辺はもっとエージングを待たないと判断を下すのは可哀想かも。それから、純正シェルのAT-Ti15ANV、上面の金色プレートをはがしたくなる衝動に駆られる・・・遺憾遺憾!。
 ここで、OC9mk3を引っ張り出すと、低域は塊でガツン、中高域もビシバシと前に来て楽しい。比較では男性的とかやや野蛮と言ってもいい。
 
 ただ、昨日も述べたが、新しいフォノイコになって、価格差が顕著には出にくくなっているので、これで3倍以上のお値段かと思うと、、、エージングに期待。

  12月3日   困った!?

 いよいよアナログ再起動。それが、のっけから困ったちゃんなのである。音が出ないとか歪んでるとかではなく、全く正常、当方好みの音なのだが、下馬評とは全く異なる結果なので「ま〜たこやつは訳の分からんことを言っている」と言われるのが落ちなのだ。それでも最近は免疫ができて、全然気にならないで自己流を逝く覚悟ができているので、最初のインプレを書いてみる。
 
 まず、EQA-5630mk3。基板の基本回路はSATRIの最新で、やはりある方向の極みにきていると思う。これで試聴すると下馬評とはかなり違ってくる。どなたか、同じフォノイコをお使いの方がいらしたら、是非話してみたい。例えばアキュのC-27、聞いたことはないが、かつて聞きかじったC-290Vの経験から言えば、方式の違いによる対局はこのあたりだったりするのかもしれない。
 そこで、カートリッジに行く前にSATRI-ICのインプレ。これまた困ったちゃん。開発者の永井氏には申し訳ないが、従来型のSP、新型のEXとUL、音質で優劣が付けられない。EXが最もハイ上がりで、音離れがよく明るく前面に出てくる。低域はガツンではなくバーン。ULはEXより大人で、分解もよく低域もガツンの傾向、ただややフタコブラクダ的周波数エネルギーバランスに聞こえる。で、従来型SP,実はこれが一番好み。周波数エネルギーバランスが素直で最も自然。低域はやや粘りがあるがよく締まっていて中高域の張り出し方と違和感がない。わずかに新型に比べると情報量では劣るかもしれないが、総合ではこれだろう。選択は、もう好みの問題である。
 それから、カートリッジが発電する電流をそのまま受ける方式なので、カンチレバーの振幅が同じならば、カートリッジの内部抵抗が小さい方が発電される電流は大きくなるという、電圧増幅とは全く逆の変化をする。だから、エミネントは精力剤を飲んだかのごとくえらく元気になるのだ。普通の方が聞いたら、こんなのエミネントではない、と言われそうである。そして、一万円のカートリッジと30万円のカートリッジで30倍の差はなく、せいぜい2倍と言ったところ。カートリッジの音色の違いが出ない訳ではないが、まじめに作られたものであれば音質が価格に比例しないというジレンマに陥る。先入観を元からひっくり返されるのだ。「君には日頃の行いの罰としてTA-F3だけしか使ってはいけない。」という地獄に放り込まれても何とかなるかも・・・だ(笑)。
 
 で、その中でいろんな角度から一番ニュートラルに聞こえるのが何とMC-L1000。凡庸だと言っているわけではなく、全てにおいて素晴らしい音質なのである。最もとんがった音だと思い込んできた当方、これには驚いた。むしろ「先入観MC-L1000的とんがった音」を示すのはMC-1!切れる寸前の音、いやもう切れてるかも。嘘みたいだけどMC-L10はその中間。カンチレバーの不要振動の影響の程度が音に出ているのかな。長岡先生がL1000導入時に仰ったことが理解できる気がする。このビクターのシリーズは他では出ない独特な高域の散乱の傾向がある。この3種類あれば他は要らない!?それに近いけれどもう少し分厚く低音が押し出してくるのがSATIN M-18BX。M-21Bはコンディションが悪いのか、おとなしくてとても同じメーカーとは思えない。
 
続く。
 

  12月1日   B-2301L 帰ってきました
 オーバーホールなので見かけに変わるところはないけれど、液晶メーターがちゃんと点灯し、きれいに掃除されていることが気分いい。裏のアッテネータもガリがなくなった。それから何とシャーシが曲がってたらしい。平面じゃないところに設置されて、重しをかけられたせいだろう。音出一発、全くノイズを感じないが、なんか縮こまってる。日中通電して2〜3時間鳴らしていくと、だんだん前に出てくるようになってきた。
 
 まだ一部の接続コードの選択の余地はあるが、これでやっとオーディオの試聴環境がそろった。週末、フォノアンプとテクニカのカートリッジとシェルを聞くことにしよう。期待と不安が交互する。

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