SATRI EQA-5630mk3ではMCカートリッジの公称出力電圧通りの音量にならない。電流入力だから当たり前と言えば当たり前。しかし、発電量が多かったり少なかったり、鳴らしてみるまで全く音量の予想が立たない。TA50ANVは意外に発電量が少ないのだが、概して発電量が多い物の方が高品位な音質のような気がする。
そこで再度浮上してきたカートリッジがZYX。元々万能型、極めて誇張のない自然な音質で、低域が地を這うように出てくるけれどドロッとしていないところが好みだった。それが、中高域まで目が覚めたように生々しく鳴るのだ。僅かにウェットかも。
正直に告白すると、カートリッジ(シェル込み)重い方がカンチレバーだけが動いて振られないから音がいいはず、とか考えてきたのだった。だから元々感度のいいアームなら多少重量かけてもいいだろうなんて、お間違えさんをやってきてしまった。この辺の理論はよく分からないが、先人の仰ることに耳を傾けないのもいい加減にしなくては。そこでシェル軽量化作戦。全ての手持ちのカートリッジのシェルをやや軽くしてEPA-100mk2とのバランスをとってやると、固まっていた音が急に解放されて伸び伸びしてくるからおもしろい。このことも功を奏しているのだろう。もしかしてアキュの新型AC-5はこんな音なんだろうか?
比較すればAT50ANVはやや腰高、もっと軽やかで高分解で切れがいいが、決してハイ上がりではないし、βサウンドでもない。AT-33PTG、これまではちょっとダウンサイジング的と考えていたが、いや、これはいい。全てに高いところでバランスがとれていて万能型、でも決して大人しい訳ではない。これこそスタンダードになり得る。AT-33E、低域にはガッツがあって、よく切れてややきらびやかな高域、でも嫌みはない。明るめの楽しめるカートリッジだ。AT-F3Uは兎に角元気でドライ、ちょっと軽薄な感じもするが、許せてしまう。audio-technicaのカートリッジは基本は端正でウェットな感じがない。
Victorのダイレクトカップルシリーズは、その独特な高域の表現が加速される。MC-1はややドライでハイ上がり、MC-L10はちょっと聞けばこれ以上の物が要るのだろうかと思うくらい。周波数バランスも良く、高音の散乱もよりきれいになる。MC-L1000は当方が言うまでもない。素晴らしく美しく散乱する高音域に張りのある中音域、ややもすると低音不足ともとられかねない締まった低音域。
何故かSATIN M-21Bも復活(?)、ガンガン鳴る!どうしてだろう?!電気的ショート状態の電流入力による針先制動が効いているのだろうか。
ドライなのはHelikonとAT-F3U、当然Helikonの方が遙かに高分解でHi-Fi、全帯域の音が力感に満ちているが音像は大きくない。
しかし、こうしてみるとEminent GLの周波数エネルギーバランスが変に聞こえてきて、その価格を考えるとガッカリしたりするのは当方だけかな。何?アーム(EPA-100mk2)に合っていない?そうかあ・・・。