どうなったのか。昨年12月23日の日誌に書いたSATRI Amp-5512Kと5511mk2の増幅段のバージョンアップ、V.8.0基板追加改造の件である。
5511mk2と5513Kは二卵性双生児のごこき関係にある。基本的回路は良く似ているが、5511mk2はAB級、5513Kは純A級であるところが最も大きな違い。SATRI-kit clubのML内で大変好評だった 5513K。いくら好評だからと言っても、ただ製品化したのでは申し訳ないと、一歩進化させての発売になったらしいAmp-5513。この試作機を試聴させていただいて感激した。バクーンのアンプを全て知っているわけではないが、歴代のSATRI Amp.の中で、最も表現力に長けたアンプではなかろうか。A級アンプの良い特徴を備えた 5513Kとはまるで異なったキャラで、特に力強いというアンプではないが、優しすぎでもない。ワイドレンジ、高分解、広い音場。ボーカルや木製楽器が気色悪いくらいに、質感を特に良く表現するアンプであると思う。どなたかがML内で「電気的な音がしない」といった表現をされていたが、当を得ている。「エロカッコイイ」という文句が流行っているので、「エロ高音質」といったところか・・・。
そのV.8.0の基板を追加するだけで、5513Kが5513同等になるというので、永井氏に即お願いした。と同時に、5511mk2も回路が似ているのなら同じバージョンアップができるのではないか、と尋ねる間もなく、永井氏から「5511mk2もできるよ」と。同時にお願いすることになった。人柱第一号だ。
数日で出来上がって試聴。5513KV.8.0はもう5513と聞き分けられない。これはいい。フルレンジには最適、マルチならどこに使ってもいいけれど、当方は中高音域に使いたい。
で、次は5511mk2V.8.0なのだが、とても悩む結果となった。バクーン視聴室のSATRI-SP(サッカーボール型マルチフルレンジSP)では、情報量の増加は明かで、エネルギーバランスもピラミッド型になった。以前から当方が言い続けてきた「どこか鉱石ラジオ風な音」はすっかり影を潜めてしまい、荒さは全くない。低域は最低域まで伸びて量感があり表情も豊か、中音域は透明感が増し、高音域はスーと伸びて繊細でキャラクターがない。5513の「エロ」さはないものの、確かに質は向上している。
しかし、当方のシステムでは中低域〜低域を担当するアンプだったわけで、SW担当のアムクロンのゴツさと中音域の2450Jの歯切れの良さとの間をつなぐ208ESを鳴らさなければならないのに、優しくなってしまってはどうにもこうにも合わせられないのである。永井氏は「アンプは正常進化しているのだから、それに合わせた音作り〜セッティングにした方が良い。」と仰る。そうなるとアンプ全てを V.8.0のSATRI Amp.にしなければならないけれど、出るモノも必要。そして、映画に加重が傾いている今は、ちょっとゴツくて汚っぽい低音も好きなのである。
そこで、いつものごとく、またもや当方の我が侭の登場だ。折角バージョンアップした5511mk2、永井氏の言うことも聞かずに、無理矢理回路切替アダプターを取り付けてもらった。カプラーを繋ぎ替えるだけで、オリジナル5511mk2と 5511mk2V.8.0を切り替えることが出来るわけだ。これで試聴。面白いほど音が変わる。余計なカプラーで音質劣化を気になさる向きもあろうが、最近の当方、そんなことくらいは気にしなくなった。だって、複雑怪奇なマルチなんだもん。それより、二つの性格を持ったアンプを手にして、将来どの様なシステムの変化があるかもしれないことにも、柔軟に対応できるようになったことの方が、はるかに益が大きい。というわけで、5513KV.8.0は JBL2450Jの担当に変更。そして、5511mk2はオリジナルの回路を選択し、今まで通りネッシーを駆動している。
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