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ALBUM

SATIN M-117E
SATIN M-117E

 サテン(SATIN)音響という、カートリッジを中心にユニークな製品を排出していた京都のオーディオメーカーがあった。
 
 1977年頃導入。実は、これがLP再生の面白さを教えてくれた、私にとって記念碑的カートリッジだ。MC型なのにスタイラス交換ができ、かつ高出力電圧。ボディは白色メラミンで強度は高い。
 ガラス質の光沢のある切れの良い高域を特徴としたが、低域の力が比例せず、トラッカビリティはお世辞にも良いとは言えなかった。しかし曖昧なところが少ない音質が気に入っていた。現在、交換スタイラスが入手できず死に体。しつこくスタイラスを捜索中。いつか音の出る状態にしてやりたい。
 
2011.12.31 スタイラスが手に入った。M-117E用の117-EではなくM-117X用の117-Xではあるのだが、チップが楕円ではなくコニック針になっているだけの違いである。取引の都合上、同時にM-117Xも入手することとなった(次写真)。約20年ぶりにM-117の音を聞くと、Victor MC-1に似ているが、やや線が細く優しい。

M-117X
M-117X

2011.12.31中古入手。先端のプレートがとれているが、内部が観察できるので、あえて接着していない。117Eとの違いはチップが楕円ではなくコニック針。コイルのターン数も少なく出力もやや小さい。手持ちの117Eは針が117X用になってしまっているので、急におおざっぱになって似たような音であると言っておこう。比較はしない方が良い。
 
2015.8 ついに音が出なくなった。寿命である。

M-18BX
M-18BX

 M-18シリーズの中で、唯一ベリリウム無垢カンチレバーを持つ。その音は独特で、ガラス質の光沢のある切れ込み抜群の高域とクソ力の低域が特徴。アンプでいうなら、HMA9500であろうか。長岡先生も一時使用しておられたような、、、。
 Victor MC-1, L10, L1000の元祖みたいな構造をしているが、これをメカニカルに手作りしているところと、針ユニット交換が出来るのが凄い。ただし、針ユニット交換は善し悪しがあると思う。ビクターMC-1が出た後も、結局は随分と長い間、当方のメインカートリッジであった。惜しむらくは、その構造上、動作がセンシティブで、トラッカビリティがシビアである。冬は冷えていると使い物にならなかった。計4個使ったけれど、初期のものと後期のものではかなり音も出力も違っていた。ビクターMC-L10が出ると共に後を譲った。

M-18BP
M-18BP

 これはさらに珍しいと思う。長岡先生もコメントしておられないのではないか?
 M-18BXの改良型。サテンとしてはこれを以てカートリッジの最適針圧は1.8g近辺にあると断言していた。トラッカビリティは改善され、同時に癖も減った。MC-L10が出るまでのわずかの期間、主力カートリジとして使用。

M-21P
M-21P

 サテンが改良に改良を重ねてきた最終期の製品。価格は発売時8万円、その後何故か12万円に跳ね上がり、当時としては目を疑う程高価で、当方には購入できるような代物ではなかった。
 これは、その後ヤフーオークションに「M−21」として出ていたのを低価格で購入したものである。M−21と21Pでは、似ているのは外観だけで、内容も価格も倍以上違い、まったくの別物である。
 惜しむらくは健全体とは言えず、音については公表できない。
 
'11/02 遂に完全に壊れてしまった。と言うか、弄り壊してしまったと言った方がいい。何とか修理できないものかと、素人が手を出すとこんなことになる(涙)。
 
'11/08/09 長岡先生の記事を見つけた(FM fan NO.33 1982 Spring)。「 音質は素晴らしいのだが、針圧は1mg単位で最適値を探すようにとか、構造上逃げ道がなく調整が極めてシビアで、これを生かすには専用アームしかない」とのコメントがある。確かに、次のM-21Bで思い知らされるが、調整はシビアである。ちゃんとしないとちゃんとした音が出ない。

M-21B
M-21B

 M-21Pを壊した後、スタイラスチップのなくなったM-21Bを見つけて入手。コイルのターン数がB>Pで、それに出力が比例する。本来の針部分は黒だが、交換針の手持ちはないので、M-21Pの針(白)を流用。どちらもカンチレバーはベリリウム無垢、チップのラインコンタクトとマイクロリッジの違いのみである。音質はというと、出力が微妙。公称1.2mVなのだが、実際はもっと小さいと思う。ヘッドアンプで増幅するかそのまま行くか迷う出力だ。で、ヘッドアンプを通すと何故かまぼこのFバランス。負荷インピーダンスの変更で多少は変わるが、基本は変わらない。
 ヘッドアンプを通さない方が鮮度が上がるが、大人びていてM-18BXのようなやんちゃなところがない。というか、どうもこの個体も本調子ではなさそうである。一度、健全な個体のM-21シリーズを聞いてみたいものだ。
 
2011.12.31 完調とはいえない状態だが、SATRI EQA5630mk3での試聴では、良いときの音は、M-18BXがマッチョだとすると、M-21Bは細マッチョ?!自分に似ているからか、こういうの結構好きである。
 
2015.08 周辺整理で手放した。

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Last updated: 2024/2/11

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